あなたの髪の根元にも確実に存在している、このバルジ領域について説明します。
バルジ領域、その概要
図解!毛根・毛包・バルジ領域
画像にも描かれている通り、毛の根の部分を毛根と呼ぶのはご存知の通り。
よく見ると、毛根は鞘(さや)状の組織に包まれていますよね。
この組織のことを毛包と呼びます。
この毛包をさらに詳しく見てみると、どうでしょう。
中央部がやや、膨らんでいますよね?
この膨張部こそが、バルジ領域です。
バルジ(bulge)は英語で「隆起」「膨張」の意味。
そのため、バルジ領域は、別名「膨大部」「毛隆起」とも呼ばれています。
このバルジ領域が、正常なヘアサイクル(髪の毛の発生→成長→脱毛→再発生)の維持、さらには薄毛・白髪予防のカギを握っているらしいことが、最近の研究で明らかになりつつあるのです。
毛周期の「バルジ活性化説」
ヘアサイクル(毛周期)
こちらのヘアサイクルの図をご覧ください。
毛根の深さについて、何か気付くことはありませんか?
そう、毛根(毛包)は、成長期を通じて、上だけでなく下方へも伸長していくのです。
植物において、茎が伸びるにつれて根が深まっていくのと同様ですね。
言い換えると、毛の一番“底”の部分にあたる毛球部は、下へ下へと沈んでいきます。
しかし、例のバルジ領域は、ヘアサイクルを通じて位置が変わりません。
ずっと、比較的表皮に近い位置にいるままなのです。
これすなわち、毛の成長に従い、毛球部とバルジ領域の距離は離れていくということ。
それによって何が起きるのか。
①毛球部とバルジ領域が一定程度以上離れると、毛球部は活力を失い、脱毛する
②すると毛包が縮み、毛球部とバルジ領域が再び接近する
③毛球部がバルジ領域によって活性化され、新たな毛が生える
これが繰り返されることこそ、ヘアサイクルの正体である――。
そう唱えた説こそ、バルジ活性化説なのです。(参照1)
参照1:『脱毛症治療の新戦略』中山書店、2011年
バルジ領域、「黒い髪を生やす!」
2016年2月、権威ある国際科学誌『サイエンス』に、東京医科歯科大の西村栄美教授らによる研究が発表されました。
バルジ領域に存在する幹細胞と脱毛・白髪との関係性を解き明かしたもので、国内外で脚光を浴びたものです。
そう、バルジ領域には、髪の大本となる幹細胞が存在しています。
それも、2種類。
毛包幹細胞―毛の発生を担う
色素幹細胞―毛に色を与える
このうち、色素幹細胞が消失してしまうと白髪になり、毛包幹細胞が消失してしまうと、そもそも髪の毛が生えてきません。
しかし、どちらの幹細胞も加齢にともない、必然的に減少・消失していきます…。
これが西村教授らの解き明かした、幹細胞を中心とする白髪・脱毛のメカニズムなのでした。(参照2)
バルジ領域には、そんな大事な幹細胞たちが棲んでいるのですね!
参照2:東京医科歯科大学プレスリリース
バルジ領域を活性化すると毛が生える?
バルジ領域は、黒い髪が繰り返し生えてくるために、大事な働きをしている――。
ならば、そのバルジ領域を活性化させることは、育毛や発毛につながるのではないか?
今や年齢性別問わず多くの方に注目されている“薄毛・ハゲ治療業界”において、このバルジ領域が着目されないはずがありません。